くまもと復興映画祭、無事閉幕致しました‼
今回は奇跡的な瞬間が何度もおこった、記憶に残る映画祭になりました!
初日の二の丸広場のオープニングセレモニーは映画の神様が味方してくれ雨は上がりました。しかし、野外上映は寒く観客の皆様は3時間のイベントをよく耐えて下さいました。くまもと映画第3弾『いっちょんすかん』の上映後は高良健吾、倉科カナ、米村亮太朗、そして、大地康雄さんが登場すると割れんばかりの拍手をいただきました。
シークレットゲストのコロッケさん、そして、音楽で盛り上げてくれた、MOROHAと忘れらんねえよの柴田隆浩の私がリスペクトする2組のアーティスト。そして、斎藤工さんの登場に観客は熱狂してくれました。
2日目は会場を菊池に移し開催。私が昨年の東京国際映画祭でアジアの未来部門の審査員をしたときに作品賞を受賞した藤元明緒監督の『僕の帰る場所』からスタート。朝早くからたくさんの観客で埋め尽された場内。この傑作は、菊池の観客を驚かせ新しい映画の発見に魅了されていました。そして、齋藤工監督の『blank 13』は超満員で迎えられ、笑いと涙で70分の上映が終わるときにはしんみりと人生を考えさせられ、心からの拍手が会場に鳴り響きました。
そして、今年の特集上映は薬師丸ひろ子さん。本当に来るのか?と一番問い合わせが多く、薬師丸さんが現れると、これ以上にないリスペクトの拍手が起こりました。上映作品は森田芳光監督作品『メインテーマ』と澤井信一郎監督作品『Wの悲劇』。上映後には〝私たちの中の青春〟というテーマのトークに斎藤工くんと高良健吾くんも参戦し、薬師丸ひろ子の存在がいかに日本映画に影響を与えて来たのかを総括するようなトークでした。そして、私は緊張しながらあの歌声を聴きたいと無理なお願いをしてみると薬師丸さんは、快く「何がいいですか?」と答えてくださり、「Woman」をお願いしました。薬師丸ひろ子の歌声をアカペラで聴ける至福の時。その澄んだ歌声に会場が静まり返る。誰一人音をたてる者はいない。幾人もの観客の頬に涙が流れている。凄かった。まさに、奇跡。
夜会で毎年必ず来てくれる熊本出身の柴田隆浩(忘れらんねえよ)のライブ。めちゃくちゃみんな楽しんでいた。そして、チケット争奪戦になった真夜中の映画祭。今年は偏愛映画を語る。
ミルクマン斉藤さんは『ひばり・チエミの弥次喜多道中』監督 沢島忠を。本広克行監督は『すかんぴんウォーク』監督 大森一樹を。私は『日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群』監督 大林宣彦を。松居大悟監督は『菊次郎の夏』監督 北野武を。齋藤工監督は『GO』監督 行定勲を。それぞれのなぜ偏愛しているのか語って語って午前2時終了予定が午前3時を回っていた。
3日目は寝不足のまま再び熊本市民会館に戻り、朝から拙作『今度は愛妻家』。ここでは薬師丸ひろ子さんとのティーチイン。そして、再びアカペラでダウンタウン・ヒーローズの主題歌だった『時代』を歌ってくださいました。菊池に続いて熊本市の観客にも感動を与えてもらった。
午後からは若手監督の作品の上映がつづく。人吉で撮影された秀作森ガキ侑大監督作品『おじいちゃん。死んじゃったって。』上映後には主演の岸井ゆきのちゃんも駆けつけてティーチイン。復興映画祭の観客の質問はどれもかなり面白く、監督たちも感心していた。
今回の招待作品のほとんどは、偶然にも若手の作品ばかりだったので、彼らと未来の日本映画がどこに向かうのかを語るシンポジウムを開いた。
資金の問題、コンプライアンスのこと、海外に越境して映画を作ることについて、真面目に討論した。
そして、松居大悟監督最新作『アイスと雨音』の上映後のティーチインは再び衝撃を受けた客席からたくさんの手が上がり、怒りから作られた映画の解釈について質問が続いた。音楽として映画に存在したMOROHAにパフォーマンスをお願いする。『遠郷タワー』と『四文銭』。MC アフロの言葉はモノを作る我々に刺さる。熱い言葉、染み入るギター音。いろんな想いが込み上げ涙が溢れてくる。映画を作り続けて行こう、映画祭をやり続けようと思った。これも記憶に残る素晴らしい時間だった。
そして、『うつくしいひと、サバ?、いっちょんすかん』の助監督を務めてくれた工藤将亮監督のデビュー作『アイムクレージー』の上映には主演の古舘佑太郎くんと、桜井ユキさんが登場。荒削りではあるが剥き出しのまま描きたかった工藤監督らしい映画の誕生を観客も受け止めていた。
フィナーレはオープニング作品の『いっちょんすかん』を上映。登壇したゲストが全員ステージに上がり、また、熊本に来たいと言っていた。
観客席にも笑顔が広がった。そして、実行委員長の大西一史市長から「また、来年もやりましょう‼」の言葉に拍手と歓声が沸く。そして、観客とゲストが一体となって再会を誓う。
打ち上げではゲストもスタッフもみんないい顔をしていた。「良い映画祭でしたね!」と口にしていただいたゲストの方たちの言葉に恥じない、更に心のこもった映画祭にしてゆきたい。みんなが何度も訪れたいと思えるような映画祭を作り上げてゆきたいので、今後とも『くまもと復興映画祭』の応援よろしくお願いします!
くまもと復興映画祭ディレクター 行定勲